インターナショナルスクールを検討中の保護者の方から、お子さまの将来について「海外の大学に進んだら、そのまま海外で働くことになるのでしょうか」と聞かれることがあります。
実際には、海外の大学を卒業した日本人の多くが、一度日本に帰って就職するという道を選んでいます。
「せっかく海外まで行ったのにもったいない」と感じるかもしれません。でも、進路の仕組みを知ると、これは後ろ向きな選択ではなく、むしろ合理的な「王道ルート」だということが見えてきます。
多くの国では、大学を卒業した留学生に「卒業後の一定期間、スポンサーなしで働いてよい」というビザが用意されています(2026年7月時点)。
| 国 | 卒業後に働けるビザ | 期間 |
|---|---|---|
| マレーシア | Graduate Pass | 1年(マレーシア国内の大学で学士以上を取得した場合。日本国籍も対象) |
| アメリカ | OPT | 原則1年(STEM系専攻は最長3年) |
| イギリス | Graduate Route | 2年 ※2027年1月以降の申請は1年半に短縮予定 |
| カナダ | PGWP | 最長3年 |
| オーストラリア | 卒業生ビザ(485) | 学士は2年 |
※マレーシアのGraduate Passは、卒業後の就職活動を含む滞在を1年間認めるパスです。ただしフルタイムの長期就労には、他国と同様、雇用主がスポンサーとなる就労ビザ(Employment Pass)への切り替えが必要になります。
ただし注意したいのは、このビザが与えてくれるのは「働いてよい」という資格だけだということです。仕事や給与が保証されるわけではありません。現地に残ってキャリアを築くには、実際には次の3段階をすべてクリアする必要があります。
難所は3つ目です。就職先が決まらず、せっかくのビザ期間を十分に活用できないまま帰国するケースもあります。専攻分野の求人が少ない、現地での実務経験が足りない、景気が悪く新卒採用が絞られている——といった条件が重なると、いっそう厳しくなります。
さらに、企業側は採用の時点で「この人は2〜3年後にスポンサーが必要になるのか」まで考えます。スポンサーになることは企業にとって費用も手間もかかる投資だからです。そのため、卒業後ビザを持っていても、最初から永住権や長期就労資格を持つ応募者と比べて不利になる場合があります。
しかも競争相手は世界中の留学生と現地の学生。アメリカでは卒業後ビザ(OPT)の先にあるH-1Bビザが抽選制ですし、各国とも近年は卒業後ビザの要件を厳しくする傾向にあります(イギリスの期間短縮、オーストラリアの年齢制限・申請料引き上げなど)。
実際、海外の大学で学ぶ日本人留学生の間でも、「卒業後のビザを取っても、その期間中に就職先が見つかる保証はない」「職歴がない状態で現地就職を目指すより、一度日本で職歴をつけてから戻ってきた方が、むしろ可能性がある」といった声が聞かれます。
では帰国して不利になるかというと、逆です。
海外大生にはボストンキャリアフォーラムをはじめとする海外大生向けの就活ルートがあり、コンサル・商社・メーカーなど、海外展開する日系大手企業が採用に来ます。英語で学位を取り切った経験は、日本の就職市場でははっきりした強みになります。
そして大事なのはここからです。海外展開している企業に入れば、海外駐在や現地オフィスへの社内異動という「次の海外への扉」が最初から用意されています。
私たちが保護者の方に一番お伝えしたいのはこの点です。
就労ビザの世界では、「職歴のあるプロフェッショナル」に対して扉が開かれています。つまり、新卒のときには狭き門だった海外への道は、日本で数年キャリアを積むと、今度は堂々と開きます。海外駐在、現地企業への転職、海外大学院——ルートはいくつもあります。
そのとき効いてくるのが、幼稚園や小・中・高のどこかで海外で揉まれた経験です。英語で学び、多国籍の同級生と競い、異文化の中で生活した土台がある人にとって、「もう一度海外へ」は大きな決断ではなく、いつでも選べる選択肢の一つになります。
インターナショナルスクールで得られるのは、「卒業後すぐ海外に残れるかどうか」という一回きりの切符ではありません。人生のどのタイミングでも海外に挑戦し直せる、期限のないパスポートです。
一度日本に帰ることは、その放棄ではなく、次の挑戦への準備期間。順番が変わるだけで、扉は閉じません。
マレーシアのインターナショナルスクール比較、学費の目安、移住の流れまで——教育移住の全体像は、まとめページにあります。
インターナショナルスクールのその先——海外大学への進学、卒業後の進路、日本とのつながり方。気になることがあれば、どうぞ気軽に聞いてください。同じ道を歩いている一人の親として、率直にお話しします。
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